「ただいま。」

荒らされたような、玄関の靴たち。

荷物を置いて、ラフな格好に着替えよう。と開けたドア。

「もう!!」

強盗が入ったような部屋に、驚きます。

「片付けくらい、してよね!!」

ワンルームの私の部屋が、彼が来たせいで、段々と影が薄くなっていく。

「ごめん、ごめん。」

「もう。」

なんて呟く私と、片付けだした彼。

スーツを脱ぎ、Tシャツに着替え、ズボンも

パシャ。

部屋に響く、カメラの音。

「もう、やめてよ!!変態!!」
「いや、おもしろくない?」

目を離すと、何をするか、分かったものではありません。

「おもしろくない!!早く片して!!」

はぁい。と、やる気の一欠片(ひとかけら)もない返事に、もう怒ったりはしません。

だって、彼にとって私は、年上の女性だからです。

「じゃ、ご飯作るから、ちゃんと片しててね?」

OK!!と、ニコニコしてるから、まっ、いいかな。と思い、キッチンに向かいます。

その前に、トイレに行ってから…

「………。」

もう…。

ちょっと、ちゃんと、流してよね!!

ジャー。と音をたて、便座を下ろし、イライラしながら座り込みます。

「………。」

それで、気付くのです。

トイレットペーパーくらい…。

近くの戸棚に、予備があったからいいけれど、とりあえず、イライラします。

「ちょっと、いち!!」

ただ、本当に、一瞬ですよ?

部屋に戻り、少し、目を離せば、

「ん?どうしたの?」

寝転んで、テレビを見てるんです。