「おかえり!!」

待ってました。と、飼い主が犬に、ペロペロされるような感覚になります。

「近いよ。」

嬉しいけれど、人前だと恥ずかしいよ。

でも、私は、そんな彼が嫌いではありません。

「ご飯…あっ!?」
「あっ。」

疲れていたのもあって、パンパンになっていた足が絡み、私は転んでしまいました。

立つことさえ、恥ずかしい。

早く、私を優しく助けてくれないか…なっ!?

「いいね!!超おもしろい!!」

大の字になった私の横で、腹を抱え座り込んで笑っている、この人。

もう、最低。

「ヤバい!!おもしろい。」

本当に、最低!!

指を差して笑う行動に、腹が立ちます。

でも、その場から、早く逃げ出したくて、恥ずかしさもあって、起き上げた体。

走るように、駅のホームを後にします。

「ちょ、待てよ!!」
「似てない!!」

ふざけているのか、バカにしているのか、後ろから、アイドルのモノマネをしてきた、この人。

「また、転ぶぞ?」
「うるさい!!」

もう、嫌だ。

真面目に、付き合っていたら、私が損をする。

少しの涙目で、薄らと見上げた星。

ため息しか出てこないです。

ちょっと、ジンジンする右手。

「大丈夫?」

今更?と、思ったけれど、この人には笑いの種でしかない!!

もう、本当に嫌だ!!

「ほら。」

でも、後ろから握られる手に、

「こうすれば、大丈夫でしょ?」

急に真面目になる、その顔。

すねている、私。

「ごめんね。疲れてたんだもんね?」

頭を撫でられて、

「そうだ。今日は、マッサージしてあげるね。」

耳元で、そんな風に言われたら…。

許し

「性感な。」

許さない!!