辺りが暗くなり、突然のスポットライト。

幸せな音楽が、会場を包み込む。

雨のような拍手と共に、新郎と新婦が現れた。

「いいなぁ。」

私は、白い手袋越しから、嫉妬にも似た感情と一緒に、拍手をしていた。

「いいですよね。」

増えていくのは、次々と変わる若い後輩と、私の枝毛ばっかり。

「ほら、サボるなよ。」

それと、コック達の小言も。

少しだけ慣れてきた、ホテルでの結婚披露宴のサービススタッフ。

「まゆさんは、結婚しないんですか?」

できたら、したいです。

いえ、とてもしたいです!!

だけど、突然のクエスチョンに、

「まだ…、いいかな。」

あはは。と、笑っては見たものの、無理していたのが筒抜けだったのか、興味が無かったのか、

「あっ、料理できてますよ?」

と、そんな言葉に、また、肩が下がる。

何個持てばいいのか。と思うくらいの料理のお皿に、私の腕もプルプルしてきた。

早く、早く。

テーブルへ急ぎ足で駆け寄り、招待客への笑顔も忘れずに。

「さすが、まゆちゃんだ。」

空っぽになったお皿は、その倍の量を運びます。

何故か、仕事ができる女性。だとか、頼もしい先輩。だとか、周りからは言われていた。

はっきり言って、迷惑です。

私、女です。

重い物を、早く下ろしたい。

投げ捨てたい。

そんな思いです。

「重いですね。」

そんなことを口にしている、後輩の彼ら、彼女ら。

私は、目が飛び出しました。

だって、私は両手で8皿。

君達、2皿。

「そ、そうだね。」

世の中、何か間違っていると思います。