「おい、十六夜」
案の定廊下で理事長に捕まっている十六夜。
理事長はロリコンだったか…これは予想外だったなー、なんてな。
「はい」
「入ってこい」
十六夜はものわかりがいいらしい。俺も説明を省けるから楽だ。
これは本音だ。
この学校は細かいルールだのマナーやらが多過ぎる。
全部覚えているわけはないが、資料を見たことがある。
「こいつ転校生な。ほれ、適当に自己紹介しろ」
軽くふれば「十六夜結来です。よろしく」と、本当に適当に言い放った。
空いている机を探していれば、隣からなんとなく視線を感じてパッと見る。
「なんか用か」
「いえ」
即答されてたじろぐ。
見ていたのはもう決定的なのにそれでも隠そうとする十六夜。やっぱり謎だ…
…すげー注目度。
男からも女からも。興味がある、といった視線以外も注がれている。
まぁイジメに発展しなきゃいいんじゃないだろうが。どっちにしろ俺には関係ないしな。



