_ガラッ


それ以上話すこともないと判断して騒がしい教室に入る。

-うるせぇなぁ…


「おい」


いつも通りに騒がしいクラスをいつも通りに鎮める。

これぞ初っ端の牽制の成果。


「先生。今日は何かあるんでしょうか。学校が騒がしかったようですが」


「おぉ田中くん。気付いたか」


田中くん。通称田中くん。つまりこれはあだ名ではなく、れっきとした苗字だ。


「ここに入れることに担任ながら抵抗をおぼえる…」


煩いし…煩いし。

十六夜を見る前はまたうるせぇのが増えるなー、程度だったのに。本人を見たら全然想像とは違っていた。



「こーちゃん先生ー。結局なんなんスか?」


「急かすなって」


黙って面子を眺めていれば、美人系のギャルが愚痴り始めた。


こいつらが犬だったら、躾するのに一年以上かかるな。例えの話だけど。


「我がクラスながらなんと面倒くさい…」


いつ入ってくるのやら…

ドアを見ながら考える。そういえば理事長から逃げてきたから入ってこいとか言ってねぇ。


…いやぁー、失態失態。



「ちょい待ってろ」



…ゴクリ


そんな音が聞こえそうだった…くらいにさっきまでの煩さもなくなった。