「ちょっとなー」と言って笑えば、怪しむような目で見られた。
-遊んでたって思われたか。実際そうだけど。
ふと、理事長の傍らにいる女子に目がいった。
「それ?転校生ってのは」
日本人…だよな。
腰まで伸びる黒髪に黒い瞳。でも、顔立ちはなんとなく中世風で。
日本人なのか外国人なのか、よくわからない狭間にいる気がした。
ほぉ…と目を惹かれていれば、黙っていた転校生が口を開いた。
「十六夜結来。お世話になります」
「お、おう。担任の猪瀬航太だ。わかんねーことが多いだろうが、まぁわかる範囲なら答えられるから聞いてくれ」
自分でツッコミをいれたくなるほどに、心にも思わないことを口走ってしまった。-転校生より詳しいのは当たり前だろ…
これぞまさに教師の性…
いや、むしろ転校生よりこの学校のこと知れてない可能性が…
-まぁ別にここについて深く理解しとうだとかは思っていない。無関心だからな、ここに。



