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「ふんふふ〜ん。らんららんらるらら〜ん」
その時俺は上機嫌だった。
その証拠に、即興の鼻唄をリズムを刻みながら歌っていた。
廊下に響くほどに。
腰のあたりに軽く違和感を感じて、入っていた携帯を取り出す。
まだライトは点滅していた。
「電話…理事長?」
あらかじめ耳が壊れることを予想して、音量を極限まで下げておく。
「もしもし」
-「今何処にいんだ」
完全にキレてる状態の理事長といくつかの会話を交わす。
俺が理事長に軽口たたいてただけ、なんだけど。
ピッ
通話終了のボタンを押して、溜め息を1つついた。
極限まで下げた状態でここまで煩いと、理事長の喉に恐怖さえおぼえる。
確か今日は転校生が来る日だったか。
だからあんなに焦っていたのか…
あの理事長を慌てさせるとは…中々やるな、転校生よ。



