「教師が自分のクラス放っておくなんざいい度胸だなぁ」



今にも角が生えてきそうな形相に恐れ慄いていた。


自分でも自覚はしている。




「お、それが噂の…」



「十六夜 結来です」




自己紹介を物凄く簡潔に言った宙に苦笑い。


馬鹿…航太は何故か固まっている。


この調子でいけば、こんな馬鹿でも多少はまともになるかもしれないな。

化学反応ってやつか…


「このクラスの担任の航太だ。まぁ分かんねーことがあったら聞いてくれ」


落ち着かないようで、頭に手を置いて宙から目を逸らしている。


「コイツに聞くより俺に聞いた方が確実だ」


「ひどくねー?」


そりゃねぇよ、とか泣き真似をする馬鹿を放って、宙に目を向ける。