マキが悲しみに打ちのめされている横に

は、押し入れがあったのだ。



声は、その中から聞こえて来る。



マキは目を見開き、その声が聞き間違い

だと信じたかった。



しかしその声は、話し掛けてくるような

感じで叫ぶのだ。



怒りに満ち、この世の全てを憎むような

声で。





「開けて……開けてよ……早く……

早く……開けてよ……ねぇ……


早ぐ! 開げろ! 早ぐせえ!」