オサムが震えた声を出している。



「マキのお父さんが言うように……

もう関わらないようにしようよ……

俺……自分の部屋に戻るのが怖いわ……」




「でも、なんでそんなに憎しみがその女

の子にあるんだろ……」



カオルもまた不安げな口調で話し出し、

俺たちのいる場所は、冷たく息苦しい程

の空気感へと変わっていたんだ。



この村の言い伝えを、ただの噂だと感じ

ていた頃に、俺は戻りたかった。

何もないのんびりとした日々に帰りたか

った。

興味本意で、話に首を突っ込んでしまっ

ていた自分に後悔を抱いていたんだ。




しかし、その後悔は取り返しのつかない

ことに変わって行ってしまう……



電気屋さんの息子が失踪してから約一ヶ

月が過ぎようとした頃、また満月の夜が

訪れてしまう。



明るく照らす満月は、この村で起きてい

る事など知るよしもなく、この世界の暗

闇に光を注ぐ。