9月に入るが、まだまだ残暑は残ってい

る村。


家族の気持ちの変化、仲間の死、思い通

りに動かない体、そして雅子の残る居場

所、そんな様々な感情を抱えたまま、俺

は、久しぶりに見る同級生と同じ教室に

いる。



新学期が始まったんだ。




それは、担任の中田先生が皆に悲しみの

報告をすることから、新学期は開始する

ことになってしまった。



「みんな……おはよう。

新学期が今日から始まるが、良いニュー

スからは伝える事が出来ないんだ……

オサムが行方不明なんだ……

知っている者もいるかと思うが……

隣のクラスのマキも同じく……

なにか心当たりがあれば先生に話しに来

てほしい……頼むな……

なにより……皆と同じように、先生もあの

二人が無事でいてもらいたい……」




ざわつく教室に、俺は何も話さずただそ

の話を聞いていた。