「蛍、寒くない?」 「別に。 梨月、寒いわけ?」 「…ちょっと。」 「んじゃ、これ着とけ。」 そういって、蛍は着ていたコートを私に渡す。 蛍はいつもこうやって気遣ってくれる。 「ありがとう。」 「ん。」 私たちはまた歩き始める。 まだ家を出てから、20分ほどしかたっていない。 まだ半分以上歩かないといけないのに。 蛍…、大丈夫かな。