思い出すのは、日向の名前を出した時のしおりちゃん。

あたしが日向がしおりちゃんの弟だと知って驚いた日。

あたしが似てないと言ったら、


“うん、似てないよ。義理だからね”


そう言って、しおりちゃんは笑顔を消してとても切なそうな顔をしていた。


そうか…


これで辻褄が合う。


しおりちゃんは、もうあの時には知ってたんだ…。


「…家出してぇな、あんな家。」


ポツリと、小さな声で日向は言った。