なんでこいつなんかにっ…
「ほら。」
挑発してくるその顔が、夕陽のせいでやけに色っぽい。
「わかったわよ!!呼べばいいんでしょ!?」
ドクンドクンと、胸がなる。
日向でしょ?簡単よ、そんなの。
心の中で日向と、何回か呼ぶ。
「ひな…」
…でも、いざ声に出すと恥ずかしさがこみ上げてくる。
「ん?」
ニヤリと笑うこいつに負けたような気がして。
「…〜〜っ日向っ!!」
あたしは、えーいと勢いで叫んだ。
するとすぐに、頭上からぷっと笑い声がする。
「よくできました。これからもそう呼べよ、フルネームじゃなくて。」
そう言って、ポンポンとあたしの頭を撫でてその…日向は鞄を肩にかけた。

