「帰ろう…んっ!!」
向きを変えて保健室を出ようとした時、突然誰かに腕を引っ張られ、あたしは体制を崩した。
何…?!
あたしを扉から少し離れた所へ連れて行く男。
そして口元には男の手が当てられ、あたしの真後ろには男がいる。
「んんっ!!んー!」
頭がパニックになって必死にもがくけど男の力には勝てない。
「椎香ちゃん、やっと会えたよ」
耳元で囁かれ、体がゾクっとする。
顔が見えないからなおさら怖い。
「っ…」
涙で視界がぼやけ、ひっくと嗚咽が出る。
「泣かないでよ、僕はそんなことするつもりじゃないんだから。」

