「…しょうがないから借りてあげる」
「お前はどこまで上からなんだよ。」
「ふんっ…」
そっと控えめに握ると、日向はぐいっと引っ張った。
日向の大きな手があたしの手を完全に包み込む。
ただ手を繋いだだけなのに、ドキドキするのはどうしてだろう。
…男の子とこんなことするの初めてだからに決まってるよね、うん。
「これでクレープ3個あり?」
「…んなわけないでしょ、バカ。」
「へいへい。」
あたしたちは動物園を出て、クレープ屋さんに向かった。
約束通り2個奢ると、日向は嬉しそうに笑ってクレープを頬張った。
…そんな姿を写真に収めたいって思ったのは、内緒。

