短編集~坂道の途中で~






「そうよ。私の代わりにかつて私の愛した彼に想いを伝えてきてほしいの。」









「あなたが行けばいいじゃない。」








「私は行けないわ。彼に会えなかったの。
たった一度きりの霊になるチャンスを無駄にしてしまったの。







お願い。あなたに、あなたのチャンスを私のために使って欲しいの。」









女性は伏し目がちにうつむいた。









まるで、先程の私のようだ。









「あなたのためにチャンスを使うとどうなるの?」