ペタペタと走る。
ズルズルと引きずる。
今日はどこで食べようか。
自分は暗い所が好きだから
あの桟橋の下とか
工事現場の端とか
結構気に入ったのに
そこは今封鎖されている。
何故だろう。
あそこは自分が食事をした場所。
どうしてそこに入れない?
まぁいいか。
ドカドカと境界に足を踏み入れて
今日もあの最初の桟橋の下で
食事を始める事にした。
「……ん」
引きずってきたモノが目を開けた。
「……うそ」
そして気付いただろう。
自分の四肢の先が無い事に。
「あぁあ!?何よコレぇ!」
だってバタバタと邪魔だったから
曲がる所からちぎったんだ。
「なにこれなにこれやダヤダヤダやだや」
騒がしい口を捨てて、美味しい所をゆっくりと噛んだら
「ァ……」
ガバガバと赤いものを吐きながら
「ギモヂ……」
食物は微笑んだ。
「顔、汚れたな……」
呟いていた。
前に一度、顔を残してあげるととっても喜んだから、次も残してあげた。
顔を残すとそれらはとても気持ち良さそうに動かなくなるのが分かるので
ああ自分と同じだと思って嬉しくなる。
だから今回も残してあげようと思ったのに。
「五月蝿かったから……仕方ないよね」
捨てた口を一瞥して、中断していた食事を再開した。



