気が付けばベッドの上。
早く学校に行かなければ。
教室に入ると微かな違和感を感じたが、それでも気にせず席に着いた。
何かが足りないような、
私、誰かとよく話をしていた気がするのだけど。
それは可愛い女の子で。
彼女には美形な彼氏がいて。
そんな夢を、見ていたんだ。
「…………ほんとに、夢?」
気が付けば駆け出していた。
向かうのは……
「被害者計十六名。何故ここまで放置した、ゼマレッテ」
桟橋の上。
白鳩は機械仕掛けのようにパキパキと嘴を噛む。
隣に立つ制服姿の青年は、気怠そうに紫煙を吐いた。
「無信教の人間がいくら犠牲になろうがどうでもいい」
「いい加減にしろゼマレッテ」
「教団が示した期限内には消したんだ。文句はないだろう」
作りもの染みたその顔を歪めて、青年は笑う。
「アレの食事をする姿が滑稽でね。見ていて楽しかった……」
「ゼマレッテ」
「まぁ結局それも飽きたがな。さて……」
細巻きの煙草を口元から離し、青年は背後を振り返る。
そこには同じ制服を着た、よく知った少女が立っていた。
「答え合わせをしようか、下平」
吐き出された紫煙は、昼下がりの青い空へ消えていった。
― E N D ―



