「則子」 地面の雑草に組み敷かれていたのは、則子だったモノ。 その背中には無数の銀の短剣が刺さっていて、頭は踏み付けられていた。 「滑稽だな、女」 短剣を投げ付け則子を地面に叩き倒し頭を踏み付けにしている張本人が、ありありと侮蔑した言葉を吐いた。 「土伊東……くん?」 現れた彼には作りものめいた顔に貼付けた笑みも、あの穏やかな雰囲気も一切無かった。 「言っただろう、立場に飽きたと。そういう事だ下平」 目の前の私を見て、土伊東桐耶は気楽そうに笑った。