G.H.Emperor


ピチャピャ


日は落ちきる前の、橙と紫の空間を世に現している。


ピチャピャ


なんだか酷く体が重い。

鉛でも背負っているかのような。


ピチャピャ


けれど嫌な予感がして私は、身体を引きずりながら則子を探した。


「……則子」


ピチャ


「雪乃ちゃん、あたし、ただショクジしてるだけだよ」



暗がりの空き地で見つけた。


何故そこに目をやったかは分からない。

ただ視界に入ったから目を向けた。

ただそれだけ  なのに。


黒々とした雑草達の中、それらは抱擁するように重なり合っていた。



「食、事」


「そうだよ、雪乃ちゃん」


片言しか発せない私の口とは相反して、則子は至って普通だった。


「雪乃ちゃん、あたし頑張るから。沢山食べて、あれを殺すから」


「あれ…?」


「そしたらまた、一緒に遊びに行けるよ!」


則子は何を言っているのだろう。


そんな口元を真っ赤にして、何を平然と奇妙な事を口にしているのだろう。


「則子」



「なぁに?雪乃ちゃん」



「私、言ったよね」



ただ呆然と私は口だけ動かしていた。



「この事件の犯人を蔑むって。絶対人間じゃないって」


「……」


「則子……気持ち悪い」