淡雪の恋




じーっと見ていると遠くの方から何か声が聞こえてきた。



「もしかして、人?」



ここに向かってるのかな?


ど、どうしよう?



「と、とりあえず隠れよう……」



下手に巻き込まれて消えちゃうのは困る!


いや、人からはわたしは見えないけどね?


そこにわたしはいるわけで、ぶつかったりすると消えちゃうわけですよ。


危険は事前に回避するに限るよね。



ふわり、とわたしは木の上に下りた。


雪の精だから身軽なんだ。


だから木ぐらいの高さならジャンプ一つで飛べるのだ。



少ししてから子供たちがこの広場に来た。



「わ……人だぁ」



話の通りのわたしたちとあまり変わらない姿。


ただ格好とかは全然違うけど……


子供たちはいろいろ着こんでいるのに対して、わたしはワンピースみたいな服一枚。



そういえば人は寒すぎると死んじゃうんだっけ?


わたしたちとは逆だな、って思ったような気がする。



きゃーきゃーと言いながら雪を玉にして投げ合ったり、かまくらを作ったり。


遊びもわたしたちと変わらないな。


しばらく観察していると一人の子供があのよく分からないものに近づいていった。


その子はぶら下がっていた椅子?みたいなところに座って、ゆっくりと助走をつけてから揺れていく。


他の子供たちもそれに乗って勢いよく揺れ始める。



「あぁやって遊ぶんだ…」



……楽しいのかな。


見た目は楽しそうだけど……



そして子供たちはここを出ていった。


わたしは木の上から下りる。



誰もいないことを確認して、わたしはそれに近づいた。



「えっと……ここに座って、」



恐る恐る子供たちを見習って座ってみる。



うわ……なんて言うんだろう。


不思議な感じがする。