「…い……おーいっ」
「……ん…」
誰かに肩を揺さぶられて俺は目を覚ました。
「もう講義終わってんぞ」
周りを見回すともうほとんど人はいない。
「……やべ、俺寝てた?」
「あぁ、爆睡」
「うわ…まじか」
「ドンマイ」
そう言って笑うのは幼馴染みの昴(すばる)。
ため息をついて、俺はまだ広げっぱなしだったノートやペンを片付け始めた。
「それにしても春が居眠りなんて珍しいな」
「昨日あんま眠れなかった」
「勉強か?」
「まぁな」
「大変だねぇ」
全てしまい終わると、昴と俺は学食に向かう。
昼飯を食べてしばらく話をして帰る。
これが俺の習慣になっている。
「あ、春くん、頼みがあるんだけど」
昼飯をちょうど食べ終わってから、昴が俺に微笑みかけながらそう言った。
だいたいそういうときは……
「合コンならパス」
「あれ、なんで分かったの」
「何度も誘われたらさすがに分かるだろ」
それに昴が俺に対して"くん"をつけるときは大抵嫌なことしかない。
「頼むよ春〜」
「無理」
「お前がいるのといないのじゃ女の子の集まりが違うんだよ〜」
「知るか」
えぇ〜、とこの世の終わりみたいな顔をする昴を軽く睨み付ける。
「いいか。この間みたいなのしたらただじゃおかないからな」
昴はこの前、俺に嘘をついて無理矢理合コンに参加させた。
本当に……こいつじゃなかったら一発殴ってたな。
「春さぁ、いいの?せっかくの大学ライフだよ?
もっと楽しまないと損だぜ?」
「俺はそういうのいいんだよ。つうか、もう一年ぐらいで俺たち大学卒業するだろ」
「そうだけどさぁ…」