淡雪の恋




「氷雪……?」



さっきまで暑くてたまらなかったのに……


見下ろすと溶けていた体がもとに戻っていた。



「っ、氷雪……」



言われなくても分かるよ。


氷雪は、自分と引き換えにわたしを助けてくれたんだ。



「氷雪の…ばか……」



時間が経てば、わたしも氷雪も消えちゃうって分かっていたのに。


それなのに、その貴重な時間をわたしに使うなんて……



昔からそうだった。


いつも氷雪はわたしのことばかり考えて…


自分のことなんて後回しで……


いつも、わたしを助けてくれた。



「最後ぐらい、自分のことだけ考えてよ……」



自分の体を抱きしめてそう小さく呟くと、胸の奧でキラリと何かが光った。


その光は温かくて優しくて……


消えちゃっても、確かにここに、わたしの中にいる。


その存在を感じる。



一度口を開くけど、わたしはもう一度閉じた。



きっと、氷雪が聞きたいのは、謝罪の言葉じゃないから。



「本当に、ばか……でも、ありがとう、氷雪」



じわりと溢れそうになるものを堪えて、氷雪に伝わるように心を込めて言った。


それに応えるようにキラリと光る一筋。


伝わったかな……わたしの気持ち。



「わたし、氷雪に最後まで甘えてばっかりだったな」



わたしは氷雪に、何かを与えられていたのかな。



「与えてあげられたなら、いいな……」



氷雪……わたし、頑張るからね。


ちゃんと、伝えるから。


だから、わたしにもう少し勇気を貸してね。






「淡雪!!」





トクン…



聞き間違えるはずなんてない。


わたしの、大好きな人の声。


振り返るとそこには春が立っていた。



「春……来てくれたんだね」



胸が何か、例えるなら真っ白な光のようなもので満たされていく。