淡雪の恋




いいって、何が?



「その春くんは、自分の気持ちを伝えるって言ったんだよね?」


「う、うん」



氷雪、少し怒ってる?



「淡雪……自分の気持ち伝えるって、すごく怖いことだよ。
拒絶されたり、気持ちを否定されたり……
それなのに春くんはちゃんと自分の気持ちを伝えるって言ったんだ」


「うん」


「春くんが逃げずに行くのに、淡雪は逃げるの?




逃げる……?



「別に逃げてなんかないよ…」


「そう?でも僕から見たら逃げてるように見えるよ。
傷つくのが怖いから、自分の気持ちは受け入れてくれないって分かってるから、気持ちは伝えずに失恋だって決めつけて。
淡雪はそれでいいの?」


「……っ」



氷雪の言葉が、わたしの胸に響く。


何も言い返せない。


それは氷雪があってるから?


自分でも気づかないうちに、わたし、春に拒絶されるの怖がってたのかな。


氷雪の真っ直ぐな目を見れなくて、思わずうつむく。



「淡雪、言ってたよね。
"春と一緒にいたい。春が好きだ"って……」



うん…言ってた。


だってそう思ったから。


春と一緒にいたい、一緒に生きたいって……



「その気持ち、春くんに伝えなくてもいいの?」


「だって……」



春の運命の人は、わたしじゃなくて……



「本当に、それでもいいの?」



グッと手に力が入る。


答えは決まってるはずなのに……それでもわたしは……



「淡雪の運命の人は、誰?」



はっとして氷雪を見上げると、氷雪はすごく真剣な顔をしていた。



「誰?」



そんなの決まってる。



「……る、だよ。……わたしの、運命の人は………」



春だよ……



そう言うと、氷雪はふわりと笑った。