「俺が彼女に会えるのは、明日が最後だから。最後に俺の気持ちを言っておきたいんだ」
そう言って春は優しい笑顔を浮かべてわたしを見る。
きっと…春はまだその彼女のことが好きなんだね。
だってそんなに優しい笑顔ができるのは、彼女のこと、まだ、本当に好きだからでしょ?
春にそんな笑顔にできる彼女が少し羨ましい。
わたしにはできない。
だって春はわたしのこと、ただの話し相手ぐらいにしか思っていないから。
わたしの気持ちは、春には言えないなぁ……
「春……がんばってね」
「あぁ。ありがとう、淡雪」
泣きたい心を覆い隠して、わたしは春に笑顔を向けた。
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「はぁ、はぁ……」
荒い呼吸を調えながらわたしは雪の上に倒れこむ。
春と別れたとき、それがわたしの限界だった。
体が重くて仕方がない。
息ができない。苦しい。
「は、る……」
もう、わたし、だめみたい。
「今日が……最後だったの、かな」
春と会える、最後の日。
明日、春は春の運命の人に告白する。
そうしたら、春はその人と一緒になるのかな。
明日行ったら、その話を春から聞くのかな。
「そう考えると、今日が最後で、よかったのかも……」
考えるのが嫌でわたしは目を瞑った。
このまま、わたしは明日になったら消えてるのかな……
うとうとと眠りに入ろうとすると、わたしを呼ぶ声が聞こえた。
誰……わたしを呼ぶのは、誰…?
「淡雪…淡雪……」
春……?
ううん、違う。
だって春はここには来れないから。
でもわたしは知ってる。
この優しい声を。
そっと目を開けるとそこには……
「ひょうせつ……」
優しい顔をした氷雪がいた。


