淡雪の恋




少し訝しげな顔をする春だけど、わたしの笑顔を見ると安心したような顔になった。



「あ、そうだ淡雪。明日学校の卒業式があるんだ」


「そつぎょう、しき?」



学校は分かるけど……何かの行事?


バレンタインみたいな?


頭に"?"を浮かべて春を見る。



「卒業式っていうのは、そうだな……学校で習うことを全て終わったことを祝う式かな」


「春は全部習ったってこと?」


「あー…俺は終わったというか…過程としては終わったかな」


「過程としては?」


「うん、まぁ。細かいことは気にするな」


「?うん」



春がそう言うならいっか。


ただ面倒なだけだと思うけど。



「それで、明日それに参加しないといけないから、少し遅れるかも」


「そっか……」



じゃあ明日は少し遅れて行けばいいのかな。


わたしに残された時間は少ないのに……


でも春には春のことがあるもんね。


わたしがワガママ言っちゃだめだ。



「明日……彼女が卒業するんだ」


「え?」



彼女……?



「前、淡雪にも話したよな?彼女って、俺の運命の人」


「春の、運命の人……」



うん……覚えてるよ、春。


あのときの春、すごく悲しそうだったから。


それでも、すごく優しく笑みを浮かべていたから。


春はそんなにその人のことが好きなんだって、おもい知らされたから。



チクチク



心がつららで刺されてるみたいな痛み。


あのときも感じた痛み。


ううん…あのときよりもずっと痛い。



この痛みはわたしが春に恋してたからだったんだ。


春の運命の人はわたしじゃない。


わたしは春の特別にはなれない。



それが、こんなに辛いことだったなんて……