「えへへ、いってきます」
「いってらっしゃい」
笑顔の氷雪に見送られて、わたしは今日も山をおりた。
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「なんか、体が重いな……」
気のせい?
ううん……やっぱり山にいたときより重い。
山をおりたから?
春が近づいてるから?
……多分両方だろうな。
氷雪の言った通り、あんまり無理はしない方がいいかも。
すっかり見慣れた公園に入っていく。
「淡雪」
トクン
「春……」
トクン…トクン……
その姿を見るだけで
「今日は遅かったね」
その声を聞くだけで
「何かあったの?」
その笑顔を見るだけで
「淡雪?」
泣きたくなるぐらい、嬉しくなる。
あぁ………やっぱり、わたし、春が大好きだなぁ。
「なんにもないよ。氷雪と話してたら遅くなっちゃった」
「そう?ならよかった」
ふわりと笑顔を浮かべる春に、また胸が高鳴る。
「もうこっちは雪が少なくなっちゃったね」
「な。山にはまだあるの?」
「うん。あ、でも前と比べると少ないかも」
「そっか。山もなんだ」
いつものように、他愛もない会話をしてわたしと春は笑いあった。
ずっと…この時間が続けばいいのに。
でも、タイムリミットは近づいてる。
「、はぁ…」
体が重い…息がしづらい……苦しい。
「淡雪、どうかした?顔色悪く見えるけど」
「そ、かな?大丈夫。なんでもないよ」
にこり、とわたしは笑顔を見せる。
どんなに苦しくても、どんなに危険でも……
それでも、わたしは春と一緒にいたいから。
最後まで……
だからわたしは、笑っていられるんだよ。


