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「ん〜〜…今日も気持ちいいなぁ」
わたしは起き上がって朝日を浴びながらぐっと背伸びをした。
ここは山の中。
わたしたち雪の精が住んでいる土地。
ここは人里からは離れた場所にあるから滅多に人は来ない。
よく分からないけど神聖な場所、らしい……
だからわたしたちが生きていけるんだって。
わたしは朝に生まれたからか、一日の時間の中では朝が一番好き。
特に天気のいい早朝。
お日様が出るとき。
降り積もった雪がきらきら反射してとっても綺麗なんだよね。
「今日は何をしようかな〜」
ぶらぶらと足をばたつかせる。
そのたびに昨日の夜に積もった雪が舞った。
わたしって生まれたときからずっとここにいるから、外の世界を知らないんだよね。
……行ってみたいかも。
どうせここにいてもつまらないんだもん。
それならここ以外の世界を見てみたいなぁ…
そんなことを考えているとふわりと風がわたしの頬をかすめた。
「あ、氷雪(ひょうせつ)」
「おはよ、淡雪(あわゆき)」
「おはよう」
にこりとわたしは笑顔を向ける。
氷雪はわたしと幼馴染みのお兄ちゃん。
雪のような白い肌に雪が降るときの空のようなグレーの瞳。
でもその瞳にはお日様みたいに優しい光が浮かんでいる。
この瞳が好きなんだよね。
「どうした?何かいいことでもあったのか?
顔がにやけてるぞ」
「あ。分かる?」
「お前が生まれたときから一緒だからな」
ぽんぽんと頭を撫でられる。
ひんやりとした手がわたしの頭を撫でた。
「えへへ……実は、今日は散歩に行こうと思ってね」
「散歩?」
「そう。だってここにいてもつまらないんだもん!だから散歩に行って世界を見に行くの」
わたしの言葉に氷雪は厳しい顔になる。
「淡雪、分かってるのか?
お前が行きたがっている世界は僕たちにとって……」
「ちゃんと分かってるよぉ」
「本当か?」
「本当だってば」
氷雪ったら心配性すぎだよ。


