でもそんな春を見られて少し嬉しい、なんて考えてるわたし自身のこともよくわからなかったり……
分からないことが多すぎるや。
氷雪に聞いてみようかな。
「あ!春、ここまででいいよ」
いつの間にかわたしの住んでいる山の下まで来ていた。
なんだか時間が早く感じたなぁ。
「ここ?」
「うん。この山の一番上だよ」
「へぇ…」
結構高いのな、と春は山の上を見上げる。
うん……そうなんだよね。意外に高い。
上から見る景色すごく綺麗なんだ。
春にも、いつか見せてあげたいなぁ。
「そういえば、ここら辺の山って全部上のほうは立ち入り禁止じゃなかったっけ?」
おぉ……春はやっぱり物知りだ。
「うん、そうだよ。わたしはよく知らないんだけど、なんか神聖な場所なんだって」
「ふーん」
そう言ってまた山のほうを見上げる春を、わたしは横から見つめた。
微かに届く月の光に照らされた春の顔に、また胸が音をたてる。
「綺麗……」
「え、今何か言った?」
「え?な、何も!」
言葉に出してしまった……
というか、男の子に綺麗って言葉使うのどうなんだ、わたし!!
「も、もう真っ暗になっちゃったね!
ここまで送ってくれてありがと、春」
「好きでやったことだから。気にしなくていいって」
「うん……ありがとう。気を付けてね」
「あぁ。またな」
「うん。またね」
わたしは帰っていく春の背中に手を振る。
その背中が見えなくなってから、わたしはなんとなく自分の手のひらを見た。
「また、か…」
さっきの会話を思い出して自然と笑みがこぼれる。
なんだか、普通にまた会えるって言えることが、わたしにはすごく幸せに感じた。


