淡雪の恋




「一人でそれ?寂しくないのか?」



心配そうな瞳をわたしに向ける春。


そっか。春には氷雪のこととか、他の仲間たちのこと話したことなかったなぁ。



「一人じゃないよ。ちゃんとわたしの他にも仲間がいるんだから。
考えてみると、山の中ではほとんど氷雪と一緒にいるなぁ」


「氷雪?」


「うん。氷雪はわたしが生まれたときから側にいてくれて……他の人たちとは違うっていうか…」



他の人たちとは違う、わたしに一歩近い人。


特別な人。



「もしかして男?」


「うん、そうだよ」


「ふーん」


「?」



春、不機嫌?



「で、その氷雪ってやつは淡雪にとってどんな存在なの?」


「え?うーん……特別?」


「……へぇ」



あれ、なんかますます不機嫌そう?


どうしてだろう?



「……氷雪はね、わたしにいろいろな世界を教えてくれたの。
山を下りてみたいって思ったのも氷雪のおかげ」



そう思うと春に会えたのも氷雪のおかげなのかな。



「だから氷雪は特別……優しいお兄ちゃんみたいな感じかな」


「は?お兄ちゃん?」


「うん。あっ、本当にお兄ちゃんなわけじゃないからね?
わたしたちは一人で自然から生まれるものだし、あくまでわたしにとってお兄ちゃんみたいだってだけで……」


「そうか……なんだよ。兄貴かよ……」



ぶつぶつ春が小さな声で何か言ってるけどわたしには聞こえない。



「どうしたの、春?さっきから……」


「なんでもないよ」



ふわりとすごく優しく春は笑った。



トクン……



………?


なんだろう、今の?


気のせい?


……きっとそうだよね。



そんなことはさておき。


うーん……さっきから春がよく分からない。


寂しそうな顔したり、赤くなったり、不機嫌そうになったり、優しく笑ったり……