「あと、好きなもの買うようにって。」
そしてあたしたちにそれぞれ三百円ずつを手渡してくれた。ずっと手に持っていたようで、百円玉が温かい。
利乃ちゃんは、ありがと、と笑顔で言ってから、大切そうにそれをうさぎのポシェットに仕舞った。
「結構売れているみたいだな。」
「うん、意外と人気みたい。」
センセイがしばらく店番を交代すると言ってくれたのでそうすることにした。
お昼時を迎え園内には更に人が増えてきた。歩きながらお菓子を頬張る子どもや、遊具で歓喜の声を上げる子ども、井戸端会議を始める母親、子どもを肩車する父親。迷子になってしまわぬよう利乃ちゃんの手を引いた。その手は小さくて、柔らかい。
「あそこでたべよ。」
もう片方の小さな手が指したのは大きな楠の下。丸太を縦半分にして寝かせたものが幹を囲っていて座れるようになっている。木陰が涼しそう。
「そうしようか。」
二人並んで焼きそばを食べた。少々冷めてしまっていたけれど、ソースがくどすぎなくておいしい。利乃ちゃんも黙々と箸を動かしている。完璧ではない箸の持ち方が、子どもたちの黄色い声に重なる。

