「だから、そんなことやめるんだ。こっちに降りておいで。」
あなたは両手を広げて切羽詰まった顔をしていた。
あたしはその顔に笑った。今思えばあまりにも酷かったと思う。
「浮田結乃さん。僕にできることなら、なんでもするから。」
「なんでも?本当に?」
じりじりとつま先を前に出した。足の三分の一はすでに宙に浮いている。
下を向くと、地面が遥か先に見える。落ちたら。よほどの強運でもない限り、確実に空の星になれるだろう。
「死ぬなんてだめだ。」
あなたはなおも腕を広げたまま言う。
試してやろうか。
「いいよ。」
大人なんて、嫌いだ。
「でも、ひとつ条件がある。」

