ステップ・ブルー


* * * * *



「あ、ゆのちゃん!」


宿題を終えて外に出ると、利乃ちゃんが半袖短パン姿でスコップを握っていた。毎日のように外で遊んでいるらしい彼女は、このところみるみる日焼けをしている。

周辺でも子どもたちがめいめいに駆け回っていた。真上からじりじり降り注ぐ太陽の熱は、彼らには関係ないらしい。


「ゆのちゃん、みてみて。おだんごつくった。」

「本当だ。」

「あげる。」

「ありがとう。」


目の前に置かれたのは、歪な形の大きな泥団子。利乃ちゃんは新たに二つ目の泥団子を作ろうとしていて、小さな手に溢れる泥を真剣に丸めている。

あたしも、このくらいの時はこうして遊んでいたっけ。懐かしい。あの頃は何も考えていなかった。その一瞬一瞬で頭がいっぱいで、目の前が全てだった。感情を遮るものはなくて、行動を制限するものもなくて。

泥だらけになってみるのも、悪くないのかもしれない。


「ゆのちゃんもつくろ?」

「うん。」


腕を捲る。赤くぷっくりと平行な幾本もの線が露わになる。

最近切っていない。殴られることも蹴られることもないから、切る理由がなくなっていた。僅かに、ほんの僅か線は薄くなった。新しい線もない。

傍にあったじょうろで砂に水を掛けてに取る。ひんやりとした泥が気持ちいい。


「いっぱいつくってー、おだんごやさんしよう。」

「そうだね。」


あたしは少しずつ、変わっているのかも、しれない。