「よし、終了。」
やっと終わった。長かった。
上がる息で肩が上下する。ジャージの中が蒸れて暑い。背中に体操服が張り付いている。両膝に手を当てて呼吸を整える。
「意外と走れるじゃないか。元バスケ部もだてじゃないな。」
「もう無理。これ以上走れない。」
「日頃運動してない割によくがんばったよ。ちょっと待ってろ。」
悔しいけれど、センセイはさほど疲れていないようだ。あたしを水飲み場の前に置き去りにすると、外のドアから職員室に入って行った。
コンクリートに尻をついて座った。疲労感が肩から腰から纏わりついている。こんなに思いきり身体を動かしたのは久しぶりだ。あと二十七周、気が重い。
「冷えてるから、美味いぞ。」
戻ったセンセイが差し出したのは、スポーツドリンクのペットボトル。結露が冷たさを表している。黙って受け取ると、その冷たさが掌の熱を奪った。
ごくごく喉を鳴らして飲むセンセイに倣って、ペットボトルを傾けた。冷たい液体が喉を潤し身体の内側に染み渡る。
「今日から二日に一回、五時からは体育の課題だ。」
日蔭と夕方とスポーツドリンク。走るのも案外悪くないかもしれない。

