* * * * *
「は?」
「まあそう嫌な顔するな。僕も一緒に走るから。」
英語を一時間半。十五分の休憩を挟んで、数学を約二時間。時刻は夕方五時に近付いたところで、センセイが走るぞと言い出した。
聞かされていなかったのだが、体育の課題は校庭の外周を三十周することだった。三十周ってありえない。鬼だ。
「こんな暑い中走るなんて無理。絶対無理。」
「ゆっくり走ろう。今日は初回だし、まずは三周だ。」
十分後、校庭に現れたセンセイは真っ白なTシャツと黒いジャージに着替えていた。学校指定のジャージで登校していたあたしはそのままだ。
「上のジャージ着てていいのか?暑いぞ。」
「いい。……日焼けするし。」
日焼けなんてどうでもよかった。ジャージを着たままでいる口実だ。
「よし、準備体操だ。」
センセイはやたら張り切っている。膝を曲げ伸ばしするのに合わせて身体を動かした。
五時を過ぎたとは言え、七月末の太陽はまだ高い。黄色い日差しがむき出しの膝下をじりじり焼き付ける。粗い砂の地面からも熱が湧き上がってくる。準備体操だけで全身に汗が滲む。

