始業式にはもってこいだけれど、現実を捨てるには似つかわしくない天気だ。太陽が急速に接近したような、春にしては刺々しい日差しが注す。
あたしは屋上にいた。
詳しく言うと、屋上から出っ張った倉庫みたいな建物の上にいた。倉庫の中には、電気や水道のメーターが入っているらしい。
風は少々強く、時折スカートの襞が崩れる。桜の花びらたちは、一足先に地上に落ちてゆく。
あれに混じるだけだ。地面までの短い旅をするだけだ。
右の方を見下ろすと、生徒たちが渡り廊下を通りぞろぞろと教室に戻ってくるのが見えた。遥か遠くの地での出来事のようにすら感じる。
理由なんてなくていい。桜が散るような、自然のサイクルの一環でいい。なんとなく、で済まされればいい。
そんなに大きな事ではない。身体ごとでしか捨てられないから、そうするだけ。
大人なんて嫌いだ。大人になんてなりたくない。
ならば、子どもと呼ばれるうちに永遠になろうじゃないか。
目をつむり、大きく息を吸う。肺が膨らむ。吐く。肺が縮まる。
さあ、自由になろう。

