「一度ここの職員の方にお父さんと面会してもらうことになる。もしかしたら僕も。」
「あたしも?」
「いや、浮田は会わなくていい。ここから先は大人の話になるから。」
「ふうん。」
子ども扱い、か。どうしてだろう、不快感がないのは。
「今日はお父さん家にいる?」
「いないと思う。土曜はだいたい仕事っぽい。」
「じゃあ荷物を取りに行こうか。」
話が済むまでしばらくはここで暮らしてもらうことになるから、と続いたその言葉に安堵が広がる。少しの間離れられる、あの家から。あたしが人間でいられなかったあの家はもう帰らなくてはいけない場所ではないのだ。
センセイの車で家に荷物を取りに戻った。制服とジャージとその他衣服だけを鞄に詰めたら、センセイに教科書もと促され、渋々スクールバッグにぴかぴかの教科書を詰める。思い。どうせ使わないのに。
「そういえば、病院代。」
「ん?」
「払う。」
「それは病院がきちんとお父さんに請求するから。大丈夫、そんな心配することない。」
児童相談所に帰る車の中。後部座席から見る流れる空は東の方角に雲の切れ間が覗いている。しとしと降り続く雨ももうじき止んで晴れるだろう。

