「いつから暴力を受けるようになったんだ?」
「離婚してすぐ。」
「じゃあもう四年くらい?」
「そうなるね。」
淡々と答えている自分に自分で驚く。なんだか、開き直り。今まで押し込めていたものが席を切って流れ出す。
「その間誰にもお父さんから虐待を受けているって言わなかったのか?」
「言わないよ。言ってもどうにもならないと思ったし。」
センセイが、一瞬悲しそうな顔になった。それはほんの短い間で、次の瞬間にはまた穏やかな表情に戻った。
「食事はちゃんと摂っていたか?痩せているからそれも心配していたんだ。」
「一応お金は貰ってたから、それでなんとか。」
「そうか。それならよかった。」
今度はふわりと安堵の笑み。ころころと表情の変わる人。
二人きりで一時保護施設の食堂で。向かい合ってこんなに会話をしている。三ヶ月前は一ミリも想像していなかった未来がここにある。人生って意外と、予想外なのかもしれない。

