「調子はどうだ?顔色は良さそうだな。」

「うん、大丈夫。」


休日だというのにセンセイは今日もスーツだ。白い半袖のワイシャツに黒いズボン。お決まりの格好。外は今日も雨らしく、肩の辺りがうっすらと濡れている。エアコンが上手く利いていないのかやや蒸し暑い。


「よく眠れたか?」

「まあ。」


あたしの正面に腰を下ろす。何をしに来たかはわかっている。わかっているから、つい目線が俯きがちになってしまう。服の袖を握りしめた。


「早いうちに話をしようと思って。」

「……うん。」


顔を上げると穏やかな表情のセンセイがいた。その堅苦しくない様子に肩の力が抜ける。


「順を追って話そうか。実は担任になると決まった時、最初に浮田のことを聞いたんだ。」

「不登校とか不良とか、そんなんでしょ。」

「うーん。正直それに近いことを聞かされたけど。」


困ったように苦笑いをしている。

普通はそういうことを生徒には言わなさそうなものなのに。あたしは自分がどう思われているかよく自覚しているから今更何も思わないけれど、センセイは誤魔化すこともしないようだ。