病院からセンセイと女性に連れて来られたのは、児童相談所と書かれた建物に併設されている小さな寮のような場所だった。その中の一室に案内されて一夜を過ごすことになった。

布団を敷いたら床が半分になってしまう程の狭い部屋で借りた服に着替えて眠る。ドアが叩かれることもなく安心して眠ることが出来た。

翌朝起きると体調はすっかり良くなっていた。熱もない。

すると、昨日と同じ女性が部屋を訪れた。


「結乃ちゃん、体調はどう?良くなったかしら。」

「まあ。」

「それなら朝ごはん食べられるわね。一緒に行きましょう。」

「あの、服。」

「ああ、そのままでいいわよ。今日は土曜日だし、皆パジャマのままだと思うから。」


皆って誰だろう。あたしの他に誰がいるのだろうか。不審な気持ちはあったけれど、さっさと話を進める女性に抗えず黙って後ろをついていった。

着いた先は、食堂らしき一室だった。

十人弱の子どもたちが揃って食事をしている。小学生くらいの子もいれば、あたしと歳の変わらないと思われる子もいる。男女比は半々くらい。なんと部屋の隅では、エプロンをした中年の女性が赤ん坊にミルクをあげていた。