「お医者さんもこの痣の多さは異常だって心配していた。通報した方がいいんじゃないかって言われたんだけど、一旦僕に預けてもらったんだ。」
通報。それが何を意味するのか、考えたくないけれど。
「直接、浮田と話がしたかった。本当はずっと、あの最初に会った日からずっと気になっていたんだ。いきなり問い詰めるのはきっと嫌がられるだろうと思って、まず仲良くなろうとしていたんだけど、こんなことならもっと早くにちゃんと話をすればよかった。」
声が僅かに震えている。
普段は制服に隠れて見えない痣だけれど、そうだ、センセイは出会ったあの日に知っていたのだ。今の今まで忘れていた。
気になっていたなんて、そんなこと口では何とでも言える。仲良くなろうだなんて馬鹿馬鹿しい。教師なんかと仲良くなる気はない。あたしは話したいことなど全くない。
言いたいことが言えない、言葉が出ない。
ベッドに沈んだ身体はまだ少し熱くて、頭は靄がかかったかのように鈍い回転しかしない。
「どうした?何があった?どうしてこんなに痣が……。」
震えて、震えて、途切れた。
見なくても、わかった。
「なんで泣くの。」
「こんなになるまで傷付い……。」
「同情で泣かないでよ!そういうのが一番鬱陶しいっ!」
大声を出したら胸が熱くなった。
同情はいらない。可哀想なんて思われたくない。何も知らないくせに。何も何も知らないくせに、可哀想だと言う資格はない。

