そうだ。一度だけ、一度だけ掛けてみよう。
ほふく前進の格好でリビングに行き電話の子機を取って部屋に戻る。机の引き出しから紙を取り出す。
こんな時間だから出ないかもしれない。十コールだけ。出ないならそれで終わり。
身体を起こしているのさえしんどい。横になって紙に書かれた十一桁の番号を押す。
「…もしもし、浮田か?こんな時間にどうした?何かあったのか?」
八コール目で切迫したような声が応答した。その時、鋭い痛みが腹を刺した。
「大丈夫か?浮田、話せるか?何があった?」
痛い。痛い。もう限界だ。
「……たすけて。」

