夜の街は雨が降ればより一層暗くなる。梅雨は一向に明けない。

ビニール傘に長袖Tシャツ、スウェット姿のまま、ふらふらと街をうろつく。アイツが寝るまで時間を潰す。どこもかしこも、つまらない。

遊ぶのにもお金が必要だ。ネットカフェに籠ることもマックに居座ることも出来ない。携帯もないからやることが本当にない。

アイツが主に帰宅する七時前から眠るまでの五時間余り。煙草があるときは土手沿いで一服してみたり、町の図書館で映画を見てみたり。しかし九時を回ると二十四時間営業の店以外は閉まってしまう。そこからはただひたすら歩く。

歩きながらいろいろなことを考える、思い出す。