ステップ・ブルー


噂を否定する機会すらなかった。治安の良いこの町で、真面目な普通の中学生が多く通うこの中学校では、あたしは虐められる対象ではなく避けられる存在となった。

一度、数少ない不良の先輩二人組に声をかけられたことがある。けれども、その男たちと関わる気も起きなくて適当にあしらったら、その後絡んでくることはなかった。

当然のように所属していたバスケ部でも噂は広まり、部活にも行かなくなった。

顧問は初めのうちは話し合う場を設けようとしていたけれど、本当の理由を言ったところで告げ口になるだけだから断った。何度か断り続けたら、見切られたらしい。

バッシュと練習着は貯金でなんとか買えたけれど、これからユニフォームやらスクイズやら買い揃える必要のある物も増える。大会の遠征費や部費も毎年かかる。アイツがお金を出してくれるはずもないし、元々部活を続けるのは無理だったのだ。そう、言い聞かせるしかなかった。

バッシュは、今でもクローゼットの奥で眠っている。