ぐらっ。視界が歪んだ。
痛い。背中が痛い。蹴飛ばされた。右によろける。肩を壁に打ち付けた。痛い、痛い。
「誰のおかげか言ってみろ!」
たしかにお金を稼いでいるのは奴だ。しかし生活を営んでいるのは、あたしだ。洗濯、掃除、食器洗い、ゴミ出し、日用品の買い出し。全部全部、やっているのはあたしなのに。
壁に寄りかかるように、体育座りで身体を丸くする。あたしを守れるのは、あたししかいない。
痛い。痛い。唇を噛む。耐えろ。すぐに終わる、耐えろ、泣くな。痛い。拳が容赦なく背中を殴打する。痛い。苦しい。
十二発殴ると、奴は気が済んだのか、寝室に言ってしまった。
じわじわと脈打つ痛みだけが残る。また内出血や痣が増えるのだろう。全身が痛くて、苦しい。サンドバッグ以下の扱いだ。腹の内側が熱く煮えたぎる。痛みと無力さが火を上げる。
涙を止められない。悔しい、我慢することしか出来ない自分が酷く哀れだ。
勝手に産んだくせに。アイツのお金で生活しているからって、こんな仕打ちに黙っていなきゃいけないの?あたしを傷付ける権利があるとでも言うの?
親ってそんなにえらいの?大人ってそんなにすごいの?
死んじゃえばいい、あんな奴。
なんのために生まれてきたのだろう。
悔しくて、痛くて、あたしはしばらく泣き続けた。

