「ん?」
シチューを一口啜って、わざとらしくニコッと笑ってみせる。
「センセイの家行きたい。」
尖らせた瞳で訴える。わかっているよねって、条件覚えているよねって、込めて見つめる。言葉だけ聞いたらデートのお誘い文句だ。しかし、あたしとセンセイの雰囲気はそんな甘いもんじゃない。これは条件で、契約みたいなもの。
彼が一瞬びくっと眉を動かした。
「いいよね?」
困らせたい。試したい。
大人ってすぐ無責任な言葉を吐く。だから、あたしはその言葉を逆手に取る。条件に乗ったのは、あんたでしょ。せいぜい慌てればいい。
「わかった。でも、来週じゃダメかな。部屋、掃除してないんだ。」
「いいよ、来週で。」
困っているだろう彼の隣で気分良くデザートのゼリーを味わう。センセイはきっと、後悔している。

