彼が通い続けた成果だと捉えられたら本当に癪なのだけれど、約二週間ぶりに登校して以来、休日を挟んで五日連続で登校している。時間もばらばらだし、もちろん教室には行かない。晴れの日は屋上、曇りの日は保健室といった具合だ。屋上は立入禁止のはずだが、鍵が壊れているから自由に入り放題。

そして、やけに嬉しそうな輩が一人。


「浮田、給食一緒に食べよう。」


戸を開けて屋上にやって来たのは、担任だ。もう給食の時間は終わったはず。それなのに、一つのトレイに二人分の給食を乗せてやってきた。

センセイはあたしがいる場所を見つけては、毎日給食を運んでくる給食係と化している。あたしの分だけを持ってくることが大半だが、今日は一緒に食べる気のようだ。


「いい天気だね。」


彼の言葉を無視して、コッペパンに手を伸ばす。今日の献立はパンにシチューに鮭のムニエルにフルーツゼリー、お決まりの牛乳。


「今日は何時に学校来たんだ?」

「十時くらい。」

「よし、じゃあ明日は九時半に来よう。あと、屋上に来る前に職員室か保健室に寄ること。」

「めんどくさい。」


五月の風は爽やかで清々しいから、お説教なんて聞き流す。こんなにいい天気なのに堅苦しい言葉なんて聞いていられない。


「教室に来る気はないか?」

「ない。」

「来月修学旅行もあるし、班決めとか。」

「だからないってば。」


いつもいつも同じ問答の繰り返し。訊かなきゃいいのに。

修学旅行なんて行く訳ない。友達なんてもの、いないのだから。厳密に言えば、いなくなったのだから。

あたしが行かないと言ったことにセンセイは落胆したようだ。そんなの、どうでもいいけど。関係ないし。


「あのさあ。」


晴れ空は高い。だから、少し意地悪したくなった。