数分後戻ってきたセンセイは、なぜか二人分の給食を携えていた。知らぬ間に養護教諭も自分の机に自分の分を持ってきている。


「ささ、起きてみんなでお昼にしよう。」


ここは幼稚園か。強制的にベッドから引っ張り起こされ、部屋の真ん中にあるテーブルに座らされた。向かいには童顔。なんであんたも一緒に食べる気なんだ。一人にしてほしい。


「いただきます。」


二人の教師の挨拶には乗らずに、無言で食べ始める。

給食が食べられるのは、正直金銭的にとても有り難い。給食費は電気代やガス代同様、口座から引き落とされているようだ。毎月少ないお金で遣り繰りしなければならないあたしには、実は給食は大事な食糧源なのだ。

卵スープと、ご飯と、唐揚げと、ブロッコリーとじゃがいものよくわからないやつと、牛乳。普段コンビニやスーパーの弁当や総菜、レトルトやインスタントばかりの食事を摂っているから、こんなにバランスのいい食事をするのはいつぶりだろう。献立に合わない牛乳がいかにも給食っぽい。


「おいしいか?」

「別に。」

「浮田は少し痩せすぎだから、ちゃんと食べろよ。」

「ほっといて。」


お節介なセンセイ。食べているときくらい、黙っていればいいのに。

真正面のセンセイを通り越して、窓の外の景色を眺める。あの日、始業式の日、あんなに舞っていた桜はもう見る影もない。淡い葉を生やし、他の木々に紛れてしまっている。

変なの。あたしはどうして教師二名とお昼を共にしているのだ。

変なの。