今日も青々とした空の下。連日の猛暑日であたしの顔や膝下は日に日に黒くなっていった。平日はほぼ毎日昼過ぎに学校に足を運び、夕方が近付いた頃に帰る。
それはちょうど午後の部活動を行う生徒と被る時間帯。物凄く暑いけれど、そんなの関係なくはしゃぐ後輩たち。別世界のようだった。同級生はとっくに部活を引退し、塾に通ったりして受験勉強をしているのだろう。
「何これ、ややこしい。」
夏休みも半分が消費され、英語数学共に中一の復習は終わった。簡単にこなせた中一までの勉強とは違い、あたしは不定詞で初めて躓いていた。
「形は全部一緒じゃん。どれがどれかなんて、わかんないよ。」
「文脈で判断するんだ。ほら、こっちを何々するために、で訳したら通じないだろう。」
「うーん。」
机のプリントにはバツがいくつも並んでいる。ひとつひとつ丁寧に解説を貰いながら直していく。
「あーもう、つまんない。」
「ちょっと休憩にしようか。」
センセイが部屋から出て行った。冷房の調子が悪いらしく、会議室には扇風機が置かれている。開け放した窓からは外の生温い空気が入り込んでくるばかりで、ひとひらの風すら吹いてこない。扇風機から運ばれる風もたいして冷たくはないから、あたしの体操着は汗でしっとりと湿っている。